絶体絶域

これは正解の無いノベルゲーム。デイグラシアの羅針盤 レビュー&考察!

2019/10/18
Wii・Switch全般 2
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Switchで配信されていた『デイグラシアの羅針盤』をクリア。
あの名作『Ever17』をオマージュした同人作品らしく、まずはそこに興味を持って購入。
色々と意欲的な作品でもあり、考察をしたくなるゲームでもあるので、レビューと考察をしてみる。


【ストーリー】

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深海700mにある潜水艇を舞台としたSFサスペンス。

Ever17自体を匂わす設定やシーンもあるが、別にプレイしていなくてもまったく問題はない。


【グラフィック・音楽】

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キャラの立ち絵のパターンが2つくらいしかなく、一枚絵もすこぶる少ないのは残念。
ここら辺のクオリティはいかにも同人ゲームらしさでもあるが、絵の上手い下手ではなく、もう少しパターンを増やして欲しかった。

音楽はなかなか良く、少し切ない場面で何度も使われてた『aimless』が好き。
でも、コメディシーンで使われるとある1曲に関しては、明らかに浮きすぎて曲調が作風と合ってなかった。


【様々な雑学・設定】

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『トロッコ問題』 『ダーウィンの進化論』 『メアリー・セレスト号』 『ブラック・スワン』などなど、
頭の良いキャラクターが多いので、しばしば作品を通じて、雑学を含めた科学や深海の知識を披露されるのは純粋に面白く、そして為にもなった。
様々な考え方や捉え方があるという一方、それを押し付けてるわけでもなく、それらが無意味なものでもなく、この作品のテーマにも結びついてる。

ゲーム内の置かれた状況に関しても、難しい話も多めであまり良く分からなくても"納得が出来る"ということは大事で、そこら辺の説得力を持った設定は良く練られていていた。


【考察することに意味がある】

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キャッチコピーにもある通り、『これは正解の無いノベルゲーム』

このゲームは、クリアしてはい終わり!楽しかった!のように終わるゲームではなく、その後に自分で様々な考察をして、自分なりの答えのようなものを見つけるゲームだと思う。いわゆる考察系。

ノベルやADVといったジャンルでもあまりここに特化したゲームをやることはなく、そういう意味でも新鮮だった。


【気になったこと】

【話の展開に】

話の展開として気になったのは、1つのことに主人公が固執しすぎたり、深海という状況でも緊張感がなかったり、間延びすることもあった。(特に序盤~中盤) この辺りは逆にEver17の悪いところも受けついじゃってる感じ。

作品の性質上、シナリオを作るのが難しそうではあるが、謎を知りたいのにその謎に直面せず、どんどん答えを引き伸ばされてる感も強かった。逆に終盤あたりはその辺がスカっとする感じでテンポ良く進んだり伏線を回収してくれるのもあり、面白さが加速していった。


【総評】

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プレイ時間は15~20時間くらい。
値段が900円なのも考えると、思ったよりボリュームがあった。

シナリオ部分が面白いだけに、やはりゲームの"ガワ"としてのクオリティ自体はもっと上げて欲しかったというのが不満点。
中身で勝負してるゲームではあるが、やはりそのガワとなる部分も大事だなと思った。

はっきりした答えのあるストーリーがあったり、キャラクター性が強いのが好きな人には向かないが、ノベルゲーへのアンチテーゼ的作品でもあると思うので、そういったものや考察系に興味をある人にはオススメしたい。むしろ、考察しないならこのゲームの意味がないとまで思う。

あまり褒めれてなかったかもしれないが、色々と考えさせられることもあったりと、プレイして実に良かったと思える意欲的な作品でした!


【以下、ネタバレ考察につき注意!】































【考察してみよう】

3周目のルートをクリアしたらみんなが助かってハッピーエンド。
…が、ここで終わってしまったんじゃ正直並のゲームと同じ。"3周目のルートの存在意味とは何だったのか?"を考えることが大事だと思った。


【正史はどれか?】

クリアまでプレイすると、一体どれが正史ルートだったのか?はまず考える要素だと思う。
2周目は明らかにシミュレーションでやり直してるが、個人的な考えとしては、どれもシミュレーションにしかすぎず、正史はないということ。つまり、"どれも正解ではない"

最初から提示されてるように、"生存者は2名"と予め決められており、船で起きた正確な出来事に関してはブラックボックスで正確なことは分からないまま。ただ、正史では恐らく1周目に近いシナリオだったのかなと予想した。

3周目が一番ハッピーエンドっぽい感じではあるが、これを正史として扱っちゃうと、1周目や2周目であった白い部屋での出来事の意味が無くなってしまうし、何よりそれだと作品が言いたいテーマがブレてしまう。1周目や2周目で駄目だったが、3周目で挽回しました!だと、よくあるループものの作品の話になってしまう。3周目がシミュレーションだからこそ、テーマとして伝えたいことがあるのかなと感じた。悲劇なんていらないんだ!みたいな台詞があったのも、ある意味創作っぽさを助長してるし。

ただ、エクストラシナリオに関しては、基本的に3周目のシナリオに辻褄が合う感じにもなってる。
でも、灯理なんかは1周目とかで親と上手くいってないような描写があった割に、エクストラシナリオではそんなのを微塵も感じさせないことを考えると…エクストラシナリオも客観的だからといって、全て事実の事を描いてるわけではないのかもしれない。


【ループもの、ノベル全般に関してのアンチテーゼ】

ループものというジャンルは今や確立されており、実際にゲームでも名作が多い。
ただ、最近ループしてよりよい未来へと選択肢をやり直すことが出来るのは、ズルではないのか?と思うことがあった。実際には選択肢があったとしてもそれをやり直すことなんかは出来ないし、作中でも因果の関係で述べられてるように、そもそもそれを"選択肢として認識する"のは未来があってようやく理解したりもする。だからこそ、1周目では選択肢が無かったり、いかにも選択肢が出てきそうな展開が多かったんだろう。

本作では、予め決定した未来を描いてる点で、どう頑張ってもやり直すことは出来ないことを踏まえてる。
その点では、選択肢を何度でもやり直せるループものや、はたまた選択肢が明確に用意されているノベルゲー全般へのアンチテーゼ的作品だという風に感じた。


【3周目のルートの存在意味とは?】

ここで、最初の疑問に戻る。3周目のルートの存在意味とは?
3周目までプレイすると、1周目だけでは見えなかった各キャラの思いを知ることになり、見え方も変わる。
ここで、公式サイトからあらすじ部分の文章を借りる。



「どうすれば、彼女たちは生きてあの海を出ることができたのか。
もし、違う選択をすれば、結果は変わっていたのか」

2033年8月1日、深海遊覧船は水深700mの海底に沈んだ。

一瞬にして失われた50名の生命。
残された者たちは、閉ざされた深海で生存への道を模索する。
だが、その水底には、彼らが予想もしなかった脅威が潜んでいた。

“二人の生存者”の片割れは、
繰り返す記録と記憶の果てに、彼女たちを救うことができるのか。

「生存者を決めるのは、あなたです」

これは正解のないノベルゲーム。




"彼女たちを救うことができるのか"の一文はつまり、実際に救うというよりは、彼女たちのありえた未来を想像したことによって、自分の中で彼女たちをより理解したことが救済、つまり死んでしまった彼女たちを救うことに繋がるんじゃないかと、決して変えられない未来でも、それを想像し思いをはせたことに意味があったんじゃないかと自分の中では解釈した。

もちろん、これも1つの個人の解釈。
『これは正解のないノベルゲーム』
トロッコ問題とかでもそうだが、結論を出すというよりは思いをくみ取り、理解し、思考する事が大事なのだなと思わされた。以上、考察することが楽しかった!ありがとうございました。








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SSX
Admin: SSX

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Comments 2

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両桐百葉

わからない。

そもそも1週目と2週目とで内容に大きく矛盾が生じてしまうのも理解出来ないところですね。

1、2週目のどちらでも生き残るとある人物は
1週目で派手に激しいビンタを喰らい、2週目ではウイルスと群生生物に直接体内に侵食される、いずれもインパクトのある煮え湯を飲まされている。

しかし、白の部屋にて見かけるその人物は、どちらの延長線上になっているとも言い難い。
よけいな一言や失言が多かった反抗期のような幼児性が数多く描写された彼女にしては、いくら数年後の姿とはいえ、あまりにも安定して落ち着き過ぎている。

では、3週目の延長が彼女?そんなはずもないような気がする。
そもそも、あの白い部屋だって現実なのか?とか色々思うところがあったり。

2020/08/14 (Fri) 11:38
SSX

SSX

>>両桐百葉さん

すいません、当時は色々考えてたんですが、それなりに前なので、ちょっともう内容がうろ覚えになっててほとんど議論出来そうにないです、申し訳ない。

白い部屋の描写にもそうですが、矛盾点だったりとか、話の整合性もそこまで重要なのか?とも思いました。記事本文にも書いてますが、自分は少なくともそのメッセージ性のようなものをこのゲームから受け取れたので、それを伝えたかったのかなと…。

コメントありがとうございました!

2020/08/16 (Sun) 22:24
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